兵庫県立美術館で中山岩太の展覧会開催。「写真家 中山岩太「私は美しいものが好きだ。」レトロ・モダン 神戸」

久しぶりのブログ更新になります。
兵庫県立美術館で4月17日(土)〜5月30日(日)まで、神戸のモボ・モガとも関連の深い写真家・中山岩太の展覧会が開催されます。関連イベントでは神戸モボ・モガを探せ!プロジェクト代表の森下が、昨年11月の神戸モボ・モガを探せ!第2弾「ホームムービーが捉えた戦前の神戸——桝田和三郎映像集——」の内容を踏まえ、講演を行います。ぜひ足をお運びください。


◎連続レクチャー「“レトロ・モダン 神戸”を語る」第1回=「戦前のアマチュア映像作家が捉えた神戸」
講師:森下明彦(映像研究家)
日時:2010年05月02日 14 :00 〜15 :30
会場:兵庫県立美術館レクチャールーム
定員:100名
参加無料(ただし展覧会チケットの半券が必要)・事前申込不要


____
兵庫県ゆかりの写真家である中山岩太(1895-1949)は、日本の芸術写真の地位を確立した写真家のひとりです。福岡・柳川に生まれた中山は、 1915(大正4)年、東京美術学校(現在の東京藝術大学)に新設された臨時写真科に入学し、同校卒業後はニューヨークやパリなど海外で写真の研鑽を積むとともに、当時の欧米の最先端の美術運動を経験しました。帰国後は芦屋を拠点とし、「芦屋カメラクラブ」を創設し新興写真のジャンルで活躍するとともに、神戸大丸で写真スタジオを開設、ポートレイト写真の名手としてその名を知られました。また、コマーシャル写真や観光写真、スタジオ写真の分野でも、日本の写真史に残る先鋭的な表現を多く残しました。
本展では、中山岩太の業績を二部構成によって振り返ります。
兵庫県立美術館hPより)
http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_1004/index.html

神戸モボ・モガを探せ!第2弾「ホームムービーが捉えた戦前の神戸――桝田和三郎映像集――」開催報告

先月に開催した「神戸モボ・モガを探せ!」第2弾、「ホームムービーが捉えた戦前の神戸 ――桝田和三郎映像集――」については、速報でその第1回(11月6日)の様子をお伝えしました。ここでは全体の報告を兼ねて、簡単にまとめておきます。

■企画概要:
日時:2009年11月6日(金)、13日(金)、20日(金)18時30分〜20時
会場:CAP STUDIO Y3(海外移住と文化の交流センター内)
主催:神戸モボ・モガを探せ!実行委員会、C.A.P.(芸術と計画会議)
映像提供:桝田輝郎
協力:神戸芸術工科大学

■上映会報告:
1. 来場者:きちんと数えているわけではありませんが、毎回、予想をこえる方々が来場されました。特に11月6日の第1回は急きょ机を片付け椅子を追加するなどの対応が必要となりました。
11月6日(金):約90名
11月13日(金):約75名
11月20日(金):約75名
3日間の合計は、およそ240名となります。

2. ゲスト:
毎回:桝田輝郎(映像提供者)
11月6日(金):尾角四郎(カワサキワールド友の会リーダー)

3. 映像作品リスト:別紙参照。およそ7時間の内、今回の3日間の上映会では主として神戸市が撮影場所となっているものを中心にし、さらに戦前では珍しいカラー映像を加え、合計約2時間分を紹介しました。

4.観客の反応:多くの観客の皆さんが現在と比べた上でと想像しますが、当時を懐かしみ、驚き、発見をしていたようでした。映像を見ながら、映像に促されての解説やいわゆる「突っ込み」がしばしば起こり、笑いが洩れ、1本毎に見終った後での大きな拍手が沸き上がったのでした。この点では、特に初回が印象的でした。いずれにしても、企画者のねらいはある程度実現したと思います。来場者の方からの感想は多様でしたが、多くの方が映像自体の魅力、つまり、確かな撮影や編集、構成力に驚かれていました。アマチュア離れしていて、質が高く、良く出来ている――との評価でした。
 
5. その他:上映会会期中に戦前の映像の存在を知らされたり、アルバムの預かりが2件ありました。さらに、市内のある町自治会からの映像上映の打診もありました。

■なお、3月に開催の「開港5都市モボ・モガを探せ!」は写真集にまとめる予定ですが、遅れてはいますが現在編集作業が大詰めを迎えており、今年年末、ないしは、来年初頭には発刊の運びとなります。

神戸モボ・モガを探せ!第2弾「ホームムービーが捉えた戦前の神戸――桝田和三郎映像集――」上映作品リスト

神戸モボ・モガを探せ!プロジェクト 第2弾
「ホームムービーが捉えた戦前の神戸 ――桝田和三郎映像集――」


11月6日(金)プログラム
テーマ:初期の9.5ミリ(パテー・ベビーの映像)を中心に(やや鉄分を多く・・・)

■『大神戸 序篇:縦貫高架線』(1933年〔昭和8年〕頃/約4分/原版:9.5mm)
須磨駅から灘駅に至る山陽/東海道本線の高架上を走る列車と神戸市内の映像

■『猫のフェリクス』(約3分/原版:9.5mm)
詳細不詳。家庭で楽しむように販売されていたフィルム・ソフト

■神戸所々-1(1933〜34年〔昭和8〜9年〕頃/約17分/原版:9.5mm)
ひまわり、神戸駅電車、子どもたち、延命地蔵尊、海、摩耶山、『須磨寺遊園地』
(1933年〔昭和8年〕2月)、『或日の突堤』(1933年〔昭和8年〕3月5日)、『離宮
道』(1933年〔昭和8年〕4月3日)、『舞子いちご摘み』(1933年〔昭和8年〕5月
28日)、『須磨浦・鉢伏山遊園地』(1933年〔昭和8年〕6月18日)、『丸山遊園』
(1934年〔昭和9年〕4月15日)、『Mr. & Mrs. Ohara』

■あさぎ丸で淡路島に渡る(1933年〔昭和8年〕頃/約3分/原版:9.5mm)
海辺で蓄音機のレコードに合わせダンスを踊る

■神戸所々-2(1933〜34年〔昭和8〜9年〕頃/約10分/原版:9.5mm)
諏訪山、鷹取、そごう神戸店前、須磨海岸、港、船

■歳末の元町(1935年〔昭和10年〕頃/約1分/原版:16mm)

■雪合戦(1935年〔昭和10年〕頃/約1分/原版:16mm)
自宅近くで雪合戦をする長女と友人

■家族/自画像アンソロジー(1935年〔昭和10年〕頃/約2分/原版:16mm)
長女、フィルム編集をする桝田和三郎本人、出かけていく長男

***************************

11月13日(金)プログラム
テーマ:港とまつり(16mm)を中心に(鉄分は少なく・・・)

■『大神戸 序篇:縦貫高架線』(1933年〔昭和8年〕頃/約4分/原版:9.5mm)
須磨駅から灘駅に至る山陽/東海道本線の高架上を走る列車と神戸市内の映像。再上映

■『第1回神戸 みなとの祭』(1933年〔昭和8年〕11月7日、8日/約10分/原版:9.5mm)
神事、国際行列、懐古行列、菊花展、夜景

■『第3回神戸 みなとの祭』(1935年〔昭和10年〕11月6日〜8日/約5分/原版:16mm)
巡覧船、行列、花電車、国際行列、懐古行列

■神戸所々-3(1935〜36年〔昭和10〜11年〕頃/約3分/原版:16mm)
夏〜秋。海、汽車、すすき野原、稲穂、荷車、もみじ

■大楠公600年大祭(1935年〔昭和10年〕5月24日〜26日/約3分/原版:16mm)
湊川神社、須磨・離宮道での行列

■大楠公600年大祭/大楠公600年祭記念神戸観光博覧会(1935年〔昭和10年〕4月
11日〜5月30日/約7分/原版:16mm)
港、行列、『六甲山上ニテ』(1935年〔昭和10年〕5月26日/六甲山分会場)

■神戸所々-4(1935〜36年〔昭和10〜11年〕頃/約2分/原版:16mm)
春。小学校、神戸港、三宮(瀧道)、阪急会館

■『五月の夢』(1937年〔昭和12年〕頃/約4分/原版:16mm/パートカラー)
甲子園ホテル(西宮市)での撮影会の折に制作されたものと推定。ストーリーがある

***************************

11月20日(金)プログラム
テーマ:神戸にこだわらず色々と(鉄分はさらに少なく・・・)

■『大神戸 序篇:縦貫高架線』(1933年〔昭和8年〕頃/約4分/原版:9.5mm)
須磨駅から灘駅に至る山陽/東海道本線の高架上を走る列車と神戸市内の映像。再上映

■神戸所々-5(1936年〔昭和11年〕元旦/約4分/原版:16mm)
謹賀新年、新開地(夜と昼)、湊川神社

■『布引の瀧と水源地』(1935年〔昭和10〕6月16日/約4分/原版:16mm)

■神戸所々-6(1935〜36年〔昭和10〜11年〕頃/約3分/原版:16mm)
ボート競技

■『浜甲子園 阪神パーク』(1935年〔昭和10〕4月3日/約5分/原版:16mm)

■「輝く日本大博覧会」(1936年〔昭和11年〕4月10日〜5月31日/約3分/原版:16mm)
本会場:浜甲子園中津浜、第2会場:阪神パーク

■『夏祭 祇園祭天神祭』(1937年〔昭和12年〕頃7月25日/約7分/原版:16mm/カラー)

■神戸所々-7(1935〜36年〔昭和10〜11年〕頃/約2分/原版:16mm)
須磨浦公園、海水浴場

■りおでじゃねろ丸出航 (1935〜36年〔昭和10〜11年〕頃/約2分/原版:16mm)
「祝南米御漫遊」

11月6日速報。...神戸モボ・モガを探せ!プロジェクト第2弾

神戸モボ・モガを探せ!プロジェクト 第2弾!

ホームムービーが捉えた戦前の神戸
——桝田和三郎映像集——


第1回上映会(11月6日)速報。

マスコミ各社の報道もあり、初回6日の上映会は立錐の余地のな
いほど大勢の方がお越しになられました。映像の上映の度に会場のあち
こちから笑いや感嘆の声が上がり、解説が飛び出すなど、熱気に満ちて
いました。

映像提供者の桝田輝郎さんとゲストの尾角四郎さんがそれぞれ貴重な資
料をお持ちいただき,解説されたことも興味を盛り立てました。

次回以降も多数のお客様のご来場が予想されます。短時間ではあります
が窮屈な思いをなさるかとお詫びいたしますが,なお映像の面白さがそ
れを上回っていますことも重ねてお伝えいたします。

なお、上映作品は「ほぼ」毎回異なりますことを追記しておきます。
※次回は11月13日(金)18:30〜20:00
※会場はCAP STUDIO Y3
http://www.cap-kobe.com/studio_y3/

森下 明彦



CAPさんによる本イベント報告記事はこちら。
http://www.cap-kobe.com/studio_y3/2009/11/07155734.html

森下レポート...復元フォトモ「丸亀あらたし文化商店街」糸崎公朗展

神戸モボ・モガを探せ!プロジェクトの第2弾、戦前のホームムービーの上映会(11月6日、13日、20日)が間近となり、準備に慌ただしくしています。

○神戸モボ・モガを探せ!プロジェクト第2弾「ホームムービーが捉えた戦前の神戸ー桝田和三郎映像集ー」
http://d.hatena.ne.jp/kobe-mobomoga/20091010/p1

そんな中、香川県丸亀市のギャラリーアルテで地域の古い写真を活用する企画があると聞いて、昨日訪ねてみました。建物や町並みの写真を切り貼りし、立体化するという「フォトモ」で著名な糸崎公朗の作品展。江戸時代後期から明治にかけて人気のあった立版古や切り組み絵の現代版と呼べるものです。

会場には10点ほどの作品が地図やキャプションとともに展示されていました。

【会場写真1】

【会場写真2】

【会場写真3】



ギャラリーのあるアーケード付き商店街のタバコ屋さんや元食堂にも飾られていましたが、もちろん写真はこれらのお店の方々が提供したもの。現在の一角にお店の昔の姿を写した古い写真が唐突に挿入され、過去と現在とが出会っています。

【会場写真4】



これらの「復元フォトモ」化は普段は無意識のうちに行われている「写真を見ること」の造形化といえます。関心を持ったものが前面に浮き出てきたり、位置が変わり、数も増加する——地域の皆さんから提供された写真をこのように新たに読み取り、作品に仕上げています。一度写真になりいわば均質化したものを、アーティストの視点から再構築することといえます。写真をそのまま展示しても、地域の方々の思い出話しが盛り上がることにはなるでしょう。私たちの3月の「開港5都市モボ・モガを探せ!」展もそうでした。だが、当事者として写真に接することの出来る方々(いわば語り部)がもはや存命でない遠い将来においては、これは期待できません。

「復元フォトモ」のような形でのアーティストの関わりは、外からの眼の導入になり、古い写真を単なる郷愁の対象に閉じ込めてしまう危険性から逃れることにもつながると思います。つまり、未来のある時点でその都度保存した写真の新たな文脈への置き換えや、思ってもみない視点からの再構築が重要になるということです。

私たちの神戸モボ・モガを探せ!プロジェクトにとっても、今後の活動の展開を考える上で、非常に興味深い示唆となりました。

本展は丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(現在、「昭和 写真の1945-1989 —カメラがとらえた戦後の日本—」展開催中)との地域連携プログラムで、他にもいくつか企画があります。

なお、ギャラリーの移転に伴い、本展は11月以降は瀬戸内海に浮かぶ本島で開催されます。アクセスなどはギャラリー・アルテのサイトを参照してください。

http://www5a.biglobe.ne.jp/~Arte2000/index.html

引き続き、展覧会のお知らせ。

神戸モボ・モガを探せ!プロジェクトで日頃からお世話になっている桝田さんからの情報です。昭和20年から40年頃、日本に赴任していたオランダ人銀行員が残した写真の展覧会があるとのこと。

「あるオランダ人が見た昭和の日々」写真展
会期:2009年10月31日(土)〜11月30日(日)
会場:ひょうご国際プラザ交流ギャラリー
http://www.hyogo-ip.or.jp/jp/about/about02.htm

入場無料

以下、引用です。
____
今年は日蘭通商400周年。この日蘭のメモリアルイヤーを記念して、ハンス・ブリンクマン、エイスブラント・ロッヘ☆1という二人のオランダ人が撮影した写真展を開催します。日本人の目線ではなく外国人の目線から見た昭和20〜40年代の日本の懐かしくも力強い写真を展示するとともに、ハンス・ブリンクマン氏を講師に迎えたセミナーを開催します。写真術は古くはオランダから日本に輸入されました。オランダから伝わった写真術によって記録された古い写真を通して、日蘭両国の親交の歴史を再認識する機会を提供します。
☆1……執筆家ブリンクマンは、ナショナル・ハンデス銀行勤務中に日本に赴任、神戸支店での勤務も経験。エイスブラント・ロッヘと出会い日本各地へ撮影旅行に出かける。
http://web.pref.hyogo.jp/press/press_ac021_00006415.html


堂本印象美術館で「和装美人から洋装美人へ -大正・昭和の女性像-」展開催中。

立命館大学そばの堂本印象美術館で、大正・昭和の女性像、それもポスターなど印刷物に表現された女性をテーマにした展覧会が開催されています。モガも登場。

____
女性の美しさを描き出す美人画は、長く日本画における主な画題のひとつとして多くの人々に愛されてきました。とりわけ、近代における女性表現は、画家たちの感性が豊かになり、さまざまな表現法が用いられることにより、ますます魅力多いものとなりました。描かれる女性たちも、自分たちの美しさを自覚し、その美しさに磨きをかけるようになったことも近代の特徴といえましょう。加えて、女性たちが身に纏う色とりどりの華やかな衣装は、その容姿の美しさをいよいよ際立たせることになりました。
 本展では、人々の装いが和装から洋装へと移り変わる大正・昭和の時代に焦点をあて、上村松園鏑木清方伊東深水竹久夢二、中村大三郎ら東西の作家が描いたさまざまの女性像を一堂に展示します。また、これらの日本画だけではなく、版画のほか、ポスター、絵はがき、雑誌の表紙などの印刷物に表現された女性像もあわせて展示します。女性像と女性風俗を通して移り変わる時代のすがたと、その根底に潜む変わらぬ日本的美意識を読み取っていただければと思います。
(堂本印象美術館HPより)
http://www2.ocn.ne.jp/~domoto/plan/2009/p03/index.htm

会期:2009年10月2日(金)〜11月29日(日)
休館日:月曜日(ただし10月12日、11月23日は開館)10月13日(火)、11月24日(火)
時間:9:30 〜 17:00(入館は閉館30分前まで)
会場:京都府立堂本印象美術館
http://www2.ocn.ne.jp/~domoto/access/index.htm
入館料:
一般 500円
高大生400円
小中生 200円

京都府立堂本印象美術館
http://www2.ocn.ne.jp/~domoto/index-j.htm