森下レポート...日本絵葉書会

2008/12/14
今度のプロジェクトで多大なご協力をいただいているジャパンメモリーさんのご紹介で「日本絵葉書会」の神戸例会の冒頭、モボモガのプロジェクトについてお話しさせていただいた。

写真はいわば一部に限定されているので、古い時代の記録ということならむしろ絵葉書の方が良いのではないか、というご意見をいただく。「モボ・モガ」というキャッチ・フレーズが含んでいる曖昧さとともに、しばしば指摘されることである。これは、また、私たちの取り組みの姿勢に関する鋭い指摘でもある。常に考え続けておかねばならない問題なのである。

さて「絵葉書会」のことである。交換会が始ってみると次々に絵葉書があたかも回転寿司のごとく流れていき、これはと思うものに値を付けていくのである。内容や技法(エンボスで地形図を形成している)など多岐に渡り、正に「森羅万象」を地で行くような印象である。私もいくつか挑戦し、入手したのもあれば、出来なかったのもある。手に入れ損ない、もう少し高額にしておけばと悔やむものもあった。

現在、絵葉書はその優美さがコレクションの対象になっているだけでない。一枚一枚を詳しく虫眼鏡で見て質の高い情報を読み取れることから、風景、都市や建物などありとあらゆるものの過去の姿を伝える視覚的な資料としての価値が高まった。この例会にもたとえば神戸の歴史を研究している方々も参加している(価格も上がったそうであるが)。

今後、このプロジェクトも収集した写真を吟味する段階へと進んでいきたいと思う。
絵葉書がかってコミュニケーションのメディアとして独自の位置を占めていたことがうかがわれ、面白く思うと同時に、きわめて奥の深い世界を垣間見たという驚きもあった。さらに、この会は絵葉書(さらには、地図や冊子なども)の交換だけでなく、情報交換の場としても機能しているのだと実感した。どこかのテレビ番組ではないが、これを探していますと皆に伝え、それなら何所そこを当ればよいとか、次に見つけておくといった反応をいただけるのである。絵葉書を媒介にしての新しいコミュニケーションが、誕生しているわけである。