モボ・モガ...過去の展覧会

1998年に神奈川県立近代美術館で「モボ・モガ 1910-1935展」が開催されていた。
今年の横浜トリエンナーレを指揮した水沢勉の企画のよう。
展覧会の概要は以下の通り。


昭和初年、1920年代後半の東京には、それまでとはまったく異なった種類の人間たちが闊歩するようになりました。関東大震災(1923年)の痛手から立ち直る過程で、東京は、都市としての外見ばかりでなく、そこを舞台とする人間の様相も一変させたのです。断髪洋装の女性たち、舶来帽子の伊達男。ジャズに興じ、映画館に集い、カフェでひまをつぶし、ラジオ放送に耳を傾ける流行先端の男や女は、モダーン・ボーイ、モダーン・ガールを略して「モボ、モガ」と呼ばれました。浅草ではエノケンが「カジノ・フォーリー」などの劇団を旗揚げし、人々に今まで知らなかったようなスピーディーで都会的な笑いをふりまいていました。しかし、その一方で、プロレタリアの団結も労働者たちのあいだで声高に叫ばれていたのです。
それは、華やかな表層とは別に、明治の欧化主義以来の欧米の『近代』への憧れが、庶民生活のレベルにまで浸透し、なにか新しい、独自の文化の在り方が、単なる西欧への追従ではなく、様々なかたちで深く模索されていた時代、実験的で果敢な冒険の時代でもあったのです。本展では、大正期の個人主義の主張を背景に登場する個性豊かな芸術家たちの作品にはじまり、プロレタリア美術運動の、弾圧による退潮後の数年間の作品まで、ほぼ四半世紀の日本近代美術の展開を、油彩画、日本画、彫刻、版画、写真、及び資料によってたどります。